クーブリックの事
『クーブリックの事』
Stanley Kubrick 昔、ワーナー・ブラザース映画の大阪支社の宣伝部にいててん、俺。
ワーナー映画と言えば、この映画会社でしか映画を撮らなかったのが、スタンリー・クーブリック。
俺がワーナーに在籍してた時は、クーブリック作品の公開がなかったんで、上司の宣伝部長に聞いた話やねんけど、彼ほど自分の作品に対する思いが強い監督もいなかったらしいわ。
『フルメタルジャケット』の公開の時。 毎日、どの新聞にどんな大きさでどんなページに広告が載ったのか本人にFAXで報告。すると次はいつに、どの新聞のどのページに、どんな大きさでどんな広告を打つか指示が届く。
もちろん、よその映画会社も同時期公開作品の新聞広告は打つわけやんか、割り当てがあるわけやないけど、やはり4大紙(読売・朝日・毎日・産経)の金曜夕刊の文化面の下7段(新聞は上から15段に分かれてて、だいたい下7段、もしくは5段が広告面)か、ラテ面(最終面)下7段がどの映画会社も欲しがる広告面やから、代理店は各映画会社の作品の力や企画のバランスでうまく振り分けていくわけやねんけど、そんなんお構いなし。 宣伝部長は代理店やライバル会社の宣伝部長に電話かけまくって「次の作品の時、お返しするから」と融通してもらって、指示通りに広告を打っていってたらしいわ。。。
亡くなってホッとしてる反面、そこまで自分の作品に熱を持ってる監督がいない今、案外その部長は寂しい思いをしてるかもね。
『フルメタル~』の時もう一つ、クーブリックがこだわるあまりすごい事件が起こってんけど、そいつは次のネタで。。。
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